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国語の『振り返り』が変わる!書けない子が書けるようになる指導のコツとテンプレート集

国語の『振り返り』が変わる!書けない子が書けるようになる指導のコツとテンプレート集

国語の授業で「振り返り」を取り入れているものの、なんとなく感想を書いて終わり…になっていませんか? それではせっかくの学びが定着せず、評価や次の学習にもつながりません。

本記事では、小学校高学年〜中学生を指導する先生向けに、「振り返り」の本当の意味から、子どもが書けるようになる教え方、指導の工夫、すぐ使えるテンプレートまで、徹底的にわかりやすく解説しています。

子どもの言葉で学びを深めるために、あなたの授業に取り入れられる実践を一緒に見ていきましょう。

そもそも、なぜ「振り返り」が大事なのか?

そもそも、なぜ「振り返り」が大事なのか?

この章では、授業における「振り返り」の本当の意味と、その重要性について解説していきます。

学習成果を深める「振り返り」の本質とは

「振り返りって、結局ただの感想文じゃないの?」と感じる先生もいるかもしれません。 ですが、実はこの「振り返り」、子どもの学びを“深く・定着させる”ための極めて重要な時間なのです。

たとえば、ある授業で「登場人物の気持ちを読み取る」学習をしたとしましょう。 その後、ただ「面白かった」と感想を書くのと、「○○さんの気持ちを△△だと考えた理由は〜」と書くのとでは、理解の深まりに大きな差がありますよね。

実際に、以下のような視点で「振り返り」を活用することで、子どもたちの学びがぐっと広がります。

振り返りの目的 具体的な効果
学びを定着させる その日の内容が記憶に残りやすくなる
学びを文脈化する 「今までの授業」とのつながりが見えてくる
学びを生活に位置づける 「自分ならどうする?」という応用力が育つ

「なんとなく書いてる子」を変えるための第一歩

ありがちなのが、「○○が楽しかった」「がんばった」といったふわっとした一言だけで終わる振り返りです。 こうなると、教師もフィードバックのしようがなく、子ども自身も学びを自覚する機会を逃してしまいます。

そんなとき大切なのが、「書くための観点」を与えること。 つまり、「何について振り返ればいいのか?」をあらかじめ明示することです。

例えるなら、「なんでも書いていいよ」は、白紙のスケッチブックを渡すようなもの。 でも、ちょっとしたテーマがあれば、「このページには動物を描いてみよう」と自然に手が動き出しますよね。

評価・通知表・成績にどうつながるのか?

「振り返りって、通知表に関係あるんですか?」という声も聞かれます。 結論から言うと、「学びに向かう力」や「主体性」の評価材料として非常に有効です。

実際、多くの学習指導要領では、「学習に向かう姿勢」や「自己評価力」の育成が求められています。 振り返りにしっかり取り組むことは、まさにその力を伸ばすことに直結します。

評価観点 振り返りから見取れる要素
関心・意欲・態度 授業中に感じたことや学びたいことを言語化しているか
学習のプロセス どのように考え、理解を深めたかの記述があるか
言語能力 考えを整理して表現する力があるか

つまり、毎回の振り返りが、そのまま子どもの評価の「ポートフォリオ」になるのです。 そしてこれは、通知表だけでなく、学級経営にも大きな意味を持ってきます。

筆者の体験メモ
私自身も、以前は「振り返り=感想文」と思っていた時期がありました。しかし、観点をもたせて書かせてみると、子どもたちが「考える力」を発揮し始めたのを実感しました。特に「どうしてそう思った?」という問いが、驚くほど深い答えを引き出してくれました。

次の章では、「うまくいかない振り返り」のよくある原因について見ていきましょう。

「国語の振り返り」がうまくいかない3つの理由

この章では、多くの先生が悩んでいる「振り返りが形骸化してしまう理由」について、具体的なケースをもとに整理していきます。

子どもが何を書けばいいか分からない

「なんでもいいから書いてごらん」と言われたとき、かえって筆が止まることってありますよね。 これは子どもも同じで、書くべき観点が明確でないと、抽象的な言葉しか出てこないのが普通です。

たとえば、以下のような一言で終わってしまうことがあります。

よくある振り返り例 なぜ問題なのか?
「今日は楽しかった」 内容がわからず、学びの記録にならない
「新しいことを学んだ」 何を学んだのかが不明確
「○○がわかった」 感想と事実の羅列だけで思考が見えない

“問いの型”を与えるだけで、子どもの書く内容がぐっと変わるというのが多くの先生の実感です。

たとえば、「授業の前と後で考えがどう変わった?」などの具体的な問いを提示するだけで、自分の思考をたどるようになります。

先生が毎回チェックしきれない

理想は毎回の振り返りにコメントを返すこと。 でも現実には、授業準備・会議・校務で手一杯、という方も多いのではないでしょうか。

その結果、子どもたちの側も「どうせ誰も読まないし」と感じ、書くモチベーションが下がってしまうことも。 これは“書いて終わり”の状態を招いてしまいます。

この問題を解決するには、「全部に目を通す」ではなく、“活用前提で振り返りを書く文化”を育てることがカギになります。

チェックの工夫 具体例
一部の振り返りをピックアップして共有 翌日の授業で「紹介タイム」を設ける
ICTでの提出に切り替える GoogleフォームやClassroomで自動集計
評価の観点を明示して自己評価させる 「○が書けたら◎」などのチェックリスト形式

学習の深まりとつながっていない

これは少し盲点かもしれませんが、「振り返り」が授業内容とリンクしていないことも多いです。 たとえば、説明文の授業なのに、振り返りで「今日は頑張れた」とだけ書いて終わっている…というケース。

“何を学んだか”ではなく、“どう学んだか”を問うようにすることで、学習プロセスへの自覚が生まれます。

これはまるで、レシピだけ見て料理した気になるのではなく、「どの手順が難しかったか」「味見して気づいたことは?」を思い返すようなもの。

つまり、国語の「学び方そのもの」を自分で言語化できることが、振り返りの真の力なのです。

筆者の体験メモ
「楽しかった」「むずかしかった」だけで終わる子が多かった時期、私も「これで意味があるのか?」と悩んでいました。問いの型を用意してみたところ、急に子どもたちの書く言葉に“理由”や“気づき”が増えてきて、これは大きな変化だと感じました。

次章では、「うまく書かせるにはどうしたらいいのか?」教師の側ができる工夫を具体的に見ていきましょう。

教師ができる!振り返りの書き方・教え方の極意

この章では、教師として実際に使える“書き方・教え方の極意”について、具体的なヒントと手法をお伝えします。

「問いの型」で考える力を引き出す(例文あり)

ただ書かせるのではなく、ときには「問いの型」を示すことが大きな転機になります。 たとえばこんな問いかけです。

  • 「友だちの意見と自分の見方、どこが違った?」
  • 「最初の予想と違ったところはどこ?」
  • 「今日学んだことを家や遊びでどう使えそう?」

問いを具体的にすると、子どもたちは自然と「なぜそう思ったのか」を書きたくなります。 たとえば、「○○さんの考えがいいと思った理由は?」には、自分の視点が言語化される効果があります。

「振り返り前の振り返り」=思い出す時間を設ける

授業後すぐに書かせようとすると、内容が頭に残っていなくて「うーん…」となることもあります。 そんなときは、書く前に1分だけ「思い出す時間」をとってみてください。

具体的には、「今日の詩の場面、どんな気持ちだったかな…?」と目を閉じて振り返る時間を設けるだけです。 すると自然に書き出す力が高まりますし、集中も切れにくくなります。

書いた振り返りを“学級の資産”として共有する方法

振り返りを書いたら、それをそのまま“宝物”として扱うのも効果的です。 たとえば、以下のような工夫ができます。

イデア どんな効果?
振り返りを教室掲示に活用 他の子の視点に触れるきっかけになる
学級通信や学校ウェブサイトで紹介 家庭との連携や学びの継続につながる
「振り返り共有タイム」を授業の最初に設定 子どもたちの気づきがクラス全体に広がる

こうした場を設けると、「書いて終わり」ではなく、「書いて見られる」文化が生まれるので、子どもたちの主体性や責任感も高まります。

以上が、教師としてすぐに使える振り返り指導のコツです。

筆者の体験メモ
「今日は楽しかったです」ばかりだったクラスに、“問いの型”と“共有タイム”を取り入れてみました。すると、「○○さんの意見が印象に残った」「次はこんな工夫をしてみたい」と、子どもたちが自分の学びを語り始めたのです。教室に「言葉が育つ空気」が生まれた気がしました。

国語×学年別|今すぐ使える振り返り例とシート

この章では、すぐに授業へ取り入れられる年齢別の振り返り実例と、使いやすいテンプレートのポイントを紹介します。

小学校高学年向けの実例とテンプレート

高学年になると、自分の考えを整理して書く力が少しずつ身についてきます。 まずはシンプルなテンプレートで「何を振り返るのか」を明らかにしながら、言葉にする力を伸ばすことが大切です。

例えば、以下のように段階ごとに問いを分類した振り返りシートが活用できます。

項目 具体的な問い例
学んだこと 「今日は何が一番心に残りましたか?」
わからなかったこと 「授業で疑問に思ったことは何ですか?」
つなげて考える 「この学びは、他の教科や日常でどんなふうに使えそうですか?」

このような構成は、学習の“振り返り+考えの応用”までを自然と支援できます。 WordやExcel形式のテンプレートも、科目や単元に合わせてカスタマイズ可能です。:contentReference[oaicite:0]{index=0}

中学生向けの深める書き方と指導法

中学生になると、より深く学びを言語化させるチャンスです。 「なぜそう思ったのか」「その先どうなるのか」といったメタ認知的な問いを加えるのがおすすめです。

たとえば、授業の振り返り内容を以下のように深めると効果的です:

  • 「今日の学びが、自分の価値観や考え方にどう影響を与えましたか?」
  • 「次に同じテーマに取り組むとしたら、どんな方法や観点を加えてみたいですか?」

また埼玉県の中学校向け「授業振り返りシート」には、学びを日常や他教科と関連づける工夫が盛り込まれており、それを参考にするのも良いでしょう。:contentReference[oaicite:1]{index=1}

「できたこと/できなかったこと」で終わらせない書き方指導

振り返りを書くとき、多くの生徒が「できたこと」「できなかったこと」で終わらせてしまいがちです。 ここでは一歩進んで、「次にどう生かすか」も含めて考えさせる工夫です。

書き方のステップ 具体例
振り返り 「漢字の『書き順』で混乱した部分があった」
改善策の提案 「次回は、お手本を何回か声に出して読んでから書く」
次の行動 「漢字ドリルの新出ページで書き順も意識して練習する」

この流れを習慣化することで、振り返りがただの記録で終わらず、“主体的な学び”につながります。:contentReference[oaicite:2]{index=2}

次章では、振り返りを学級経営や探究学習と結びつける方法を見ていきます。

学級経営・探究学習にも効く!「活きた振り返り」の使い方

この章では、振り返りを学級全体や探究的な学びに効果的につなげていく方法を具体的に紹介します。

「個人の学び」から「クラス全体の学び」へ接続させる

振り返りを「個人の学び」で終わらせず、「クラスの学び」に昇華させる工夫が、実は高い学級経営力につながります。

埼玉県教育委員会の調査によると、「授業の終わりに学んだことやわからなかったことを振り返る」ことは、主体的・対話的で深い学びの実現や、非認知能力(学びに向かう力など)の育成に有効とされているんですね。こうした振り返り文化は、学級経営の質にも影響することがわかってきています。:contentReference[oaicite:1]{index=1}

「振り返りを見せ合う」文化の作り方

探究活動など、学びのプロセスがとても大切な場面では、振り返りが互いに刺激し合うきっかけにもなります。

「OPPシート(一枚ポートフォリオ)」という形式を活用して、個人の振り返りを重ねて蓄積する方法も注目です。Google スプレッドシートなどICTツールと組み合わせることで、子ども同士の共有や、教師によるコメントの効率化も可能になっていて、クラス全体の学びの質が高まる実践報告もあります。:contentReference[oaicite:2]{index=2}

「まとめノート」や「ポートフォリオ学習」との連携例

単元の振り返りや、学期・学年の節目におけるまとめノートの活用は、学びの連続性を意識させるにはうってつけです。

文部科学省の資料にも、振り返りカードを使って学習内容を整理し、「もっと知りたいこと」「次にやりたいこと」を明確にすることで、探究活動の深化につながるといった記述があります。:contentReference[oaicite:3]{index=3}

次章では、先生の負担を減らしながら振り返りを定着させる効率化のコツをお伝えします。

忙しい先生のための振り返り指導・評価の効率化術

この章では、授業準備や校務に追われる先生方が「振り返り」を無理なく定着させつつ、負担を減らすアイデアを紹介します。

ルーティンを見直して「効率化」する工夫

毎日の業務に「振り返り指導」が追加されると、どうしても時間管理が難しくなりがちですよね。 ですが、「時間帯ごとにやることを固定する」のがすごく効果的です。これは、ある教員の実践でも効果が報告されています。例えば火曜日は「授業準備」、水曜は「面談処理」、金曜は「振り返り整理と校務処理」にする、といった具合に曜日ごとに業務を割り振ると、脳の準備コストが減って動きやすくなります。毎日「何をやればいいんだっけ?」と考える時間が大幅に減るんですね。

工夫の内容 具体例
曜日ごとの業務固定 火曜:振り返り内容を整理、金曜:コメント返信集中
朝のゴール設定を習慣化 「今日は振り返りを書かせる」「3人にはコメントする」など

このような工夫で、週の流れが見えてくるので「振り返り」も自然に組み込めます。

AIやテンプレートで「省エネFD(フィードバック)」を

すべての振り返りに目を通すのは正直大変です。そこにAIを活用するのが最近のトレンドで、中でもChatGPTを使って内容のポイント整理やコメント案を自動生成し、先生の負担を大きく減らせるという実践報告があります。

例えば「この子の振り返りの良かった点は?」とAIに投げると、一言で強みを抜き出してくれるコメントが返ってくるので、載せるだけで済むようになります。こういったAIの活用で、フィードバックの質を落とさず、時間を大幅に短縮できています。

「振り返りをクラス共通にする」システム化アイデア

一人ひとり文章にコメントする代わりに、代表的な振り返りを週1回だけまとめて紹介するスタイルを取り入れてみましょう。

方法 メリット
週に一度、よかった振り返りを紹介 時間を節約しながら、クラス全体で共有
自己評価を取り入れる 書き手の主体性が高まり、先生の負担も減少

子ども自身にも「この項目を振り返ろう」「良い振り返りを書こう」といった意識が芽生え、振り返りを“自走させる文化”へ変えていけます。

次章では、実際に使えるテンプレートや例文集を紹介します。

具体的に使えるテンプレート&書き出し例文集

この章では、すぐに現場で使える振り返りのテンプレートや、子どもが書きやすい書き出し例文を紹介します。

質問文テンプレート(学年別・目的別)

「何を書いたらいいの?」と戸惑う子どもに向けて、“問いのテンプレート”を提示するのは非常に効果的です。 以下は、学年別・目的別に整理したおすすめのテンプレートです。

対象 目的 テンプレート例
小学校高学年 気づきを深める 「今日の授業で、前と考え方が変わったことは何ですか?」
中学生 自分の意見を広げる 「この授業内容を、他の教科や日常生活でどう使えそうですか?」
共通 主体性を育てる 「この学習を通して、次にどんなことをしてみたいと思いましたか?」

良い振り返りの例/ありがちなNG例の比較

「子どもにとって書き方のモデルがない」というのは、思った以上に大きなハードルです。 以下に、よくあるNG例と、少し書き方を変えるだけで“深まりのある振り返り”になる事例を比較してみました。

NG例 改善例
「今日は○○が楽しかったです」 「○○が楽しいと感じたのは、自分が前よりもできるようになったと感じたからです」
「○○について学びました」 「○○について学んだことで、△△という場面でも応用できそうだと思いました」
「今日は頑張りました」 「今日の学習で、難しかったけれど工夫して乗り越えられたのは○○のときでした」

感想だけではなく、「理由」や「気づき」「次につながる視点」を加えることで、振り返りは“学びの記録”へと進化します。

そのまま配れる!PDF・Wordファイル配布案内

テンプレートや例文は、自作するのもアリですが、配布用の雛形を用意しておくと便利です。 以下のようなファイル形式で準備しておけば、印刷やデジタル配布にもすぐ対応できます。

形式 用途 備考
PDF 印刷して配布・掲示 改変不可だがレイアウトが崩れない
Word(.docx) 編集可能なテンプレート 学年や内容に応じてカスタマイズ可能
Googleドキュメント クラウド共有 リアルタイムで共同編集ができる

実際のテンプレートは、次章のまとめにてリンク形式でご紹介予定です。

まとめ|「振り返り」が授業と子どもを変える

最後の章では、「振り返り」の本質的な価値と、先生自身の実践としてどう定着させるかをまとめます。

「振り返りが文化になる」と何が変わるか?

振り返りが「なんとなくの感想文」から、「考えを深める習慣」へと進化すると、学級にどんな変化が起こるのでしょうか?

一言でいえば、子どもが「学びを自分のものとして扱い始める」ことです。

たとえば、ある先生のクラスでは、振り返りを通じて「どうしてこの学習が必要なのか?」を自分の言葉で語れるようになったといいます。 それは、単に国語力を伸ばすだけでなく、探究・表現・対話など、これからの時代に求められる力を育てるベースにもなっていきます。

継続するための先生自身の習慣化のコツ

「振り返りが大事なのはわかるけど、続けるのが大変…」という先生も多いですよね。 そんなときは、自分の中でも「型」を作ってしまうのがオススメです。

先生のための振り返りルーティン 実践のコツ
「週に1回だけしっかり読む」 すべて毎回ではなく、定期的に見る仕組み化
「授業の前に、前回の振り返りを1つ読む」 次の授業とつなげるための素材として活用
「毎月1回、子どもと一緒に“振り返りの振り返り”」 良い振り返りを選び、クラス全体で共有

つまり、「全部やる」から「続けられることだけやる」にシフトすることで、無理のない習慣化が実現できます。

まず明日からできる、3つの小さな始め方

最後に、この記事で学んだことをすぐに活かせるよう、「明日からできる3つのこと」を紹介します。

  • ① 一言テーマの提示:「今日の授業で『おっ!』と思ったことは?」
  • ② 振り返り紹介タイム:毎週1回、良い振り返りを全体共有
  • ③ 自分も書いてみる:先生自身が1行でも振り返りを書いてみる

どれも小さな一歩ですが、それを積み重ねていくことで、「振り返りが文化になる」クラスが生まれていきます。